二重に見えて動けない

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広報担当の北海道脳神経外科記念病院の横山です。

 

「周りが二重に見えて、動けない」

 

そんな電話がある仕事終わりの日に父親から来ました。

 

一つ深呼吸をして、「父さん、救急車を呼ぼう、母さんにそう伝えて」

と私は父親に伝えました。

 

しかし横にいる母親からは、「いやだー、大袈裟でしょー、近所の目もあるし」との声が聞こえました。

母親には冷静に、「大袈裟じゃなくて、大事だよ、たぶん脳梗塞だと思うよ」と伝えて、急いで救急車を呼んでもらいました。

 

父親は律儀な人なので、息子が働いている職場見学も含めて以前、脳ドックを受けにきていたことがあります。その時に、隠れ脳梗塞がポツポツあったのを覚えていました。

 

しぶしぶ母親は救急車を呼び、脳外科のある総合病院へと搬送となりました。

近くに住んでいる弟家族にも連絡して先に向かってもらい、私も後を追いかける形となりました。

 

私が病院に着くと、MRI後でした。最初の電話よりも少し呂律が回りにくいようでした。

 

「小脳梗塞」

 

医師からの診断でした。また明日にMRIで再検した結果を伝えるとのことでした。

 

その後入院手続きなどして一旦実家に戻りました。

 

入院した病院は面会は完全禁止でした。

 

この時、改めて患者家族の立場となってみて思ったことが、「これからまだ悪くなるんじゃないか、不安。面会できれば、本人もだし、こちらも安心できるのに」ということを思いました。

 

普段病院側で仕事をしていると、「これぐらいの時期になってからICしてもらう、リハから詳細説明しよう」や、患者さんから検査結果がどうだったか先生から聞いてない、という質問があった場合にも、「大丈夫だったから急いで知らせてこないんじゃないですかね」と病院側が主で考えてしまうことも少なくありません。

 

もちろん全く後遺症なく改善できれば良いですが、少なからずなんらかの後遺症がある場合がほとんどだと思います。こういうコロナ禍だからこそ、より不安に陥りやすさもあると思います。

 

幸い、父親はその後自分で連絡をとれるようにもなりましたので、症状やリハビリのことなど報告してくれていたので、少しずつ不安は解消されていきました。

 

「患者様第一で、患者様、ご家族に安心と満足を」というのが当院の理念であり、そこを意識して日々働いていたはずでしたが、まだまだ患者様や家族の気持ちを捉えきれていなかったんだということが改めてわかりました。

 

今回の経験をまた日々の臨床にも生かしていきたいと思います。

 

どなたかのご参考になれば幸いです。

 

ちなみに母親からはその後、早く救急車を呼んで良かったと言ってもらえました。